宝塚記念で問われる能力の方向性を示す最たる例は2017年の一戦。
この年は、当日単勝7番人気以下の人気薄が1~3着までを独占して、3連単の配当金も49万円を超える大荒れ決着に。
7人気1着ミッキーロケット、10人気2着ワーザー、12人気3着ノーブルマーズは、父も母父もサンデーサイレンス系ではない血統馬。
それどころか、サンデーサイレンスの血を一滴も保有していない血統馬。
逆に、このレースで単勝5番人気以内に支持された馬は、全馬が父か母父サンデーサイレンス系の血統馬。これらの馬は、全て自身の人気よりもパフォーマンスを下げる結果に。
また、この年の上位好走馬3頭は全馬が、父か母父欧州型種牡馬、もしくはノーザンダンサー系という共通項。
過去5年の勝ち馬5頭中4頭も、父が欧州型種牡馬というデータも。
要するに宝塚記念は、日本競馬界からの視点で見れば、非主流指向が強く、主流の個性とは相反する才能を持った馬が恵まれやすいレース。
中でも、昨年の勝ち馬タイトルホルダーや、20年21年連覇のクロノジェネシス、あるいは前述したミッキーロケットのように、父も母父もサンデーサイレンス系ではない血統馬は特注系と言えるでしょうか。
尚、過去5年の宝塚記念において、父サンデーサイレンス系で唯一、複数頭の好走馬を輩出した種牡馬がハーツクライ。
当種牡馬は、母の父に欧州競馬の最高峰レース凱旋門賞勝ち馬トニービンを持つ馬。
現役時代は、同じ小回りの非根幹距離レースで宝塚記念と類似性の高い有馬記念を制覇。
父サンデーサイレンス系の中では、非主流指向や欧州指向の強いレースに相性のいい種牡馬。
また、当時の有馬記念でハーツクライに先着を許したディープインパクトは、種牡馬としても宝塚記念に対する相性はよろしくない傾向も。
過去5年の宝塚記念で、ディープインパクト産駒の3着内好走例は2021年のレイパパレ(2人気3着)1頭のみ。
対して日本ダービーは、直近6年中5年の勝ち馬がディープインパクトの産駒。
この辺りも、宝塚記念が主流要素の薄いレースである裏付けと言えるでしょうか。
あくまでも参考までに、今年の宝塚記念出走予定馬の中で、父も母父も非サンデーサイレンス系、もしくは父ハーツクライ系の該当馬は、カラテ、ジオグリフ、ダノンザキッド、ブレークアップ、ユニコーンライオン、ヴェラアズールの6頭。