2023年05月28日(日)
東京11R 日本ダービー
近年の日本ダービー、そして皐月賞は、通常の馬場コンディションであれば、何れもスピード指向の強い傾向が顕著。
どちらのレースも、血統的には主流のクラシック血統にプラスαでスピードを強化する米国血統、あるいはスプリント血統をプラスαされたようなタイプが走りやすく、臨戦過程的には1600m重賞で好走実績を持つようなキャラクターに相性がいい方向性。
また、皐月賞、日本ダービーは類似した才能が要求されやすいため、日本ダービーにおける皐月賞組の直結性も水準以上に高い傾向も。
過去5年の日本ダービーは、3着以内に好走した15頭中12頭が前走皐月賞組。
また、その12頭は全馬が、前走皐月賞で5着以内or単勝5番人気以内の該当馬。
基本的には皐月賞好走馬、上位人気馬の取捨が何よりもポイントになるレース。
但し、今年の皐月賞は降雨の影響で重馬場コンディションでの施行。
過去20年で同年の皐月賞が良馬場以外の馬場コンディションだったケースは5度。
その5年の皐月賞馬は、ヴィクトワールピサ、ゴールドシップ、エポカドーロ、コントレイル、エフフォーリア。
この5頭中4頭は、日本ダービーで敗戦。唯一の日本ダービー勝ち馬コントレイルは父ディープインパクト以来の無敗の3冠馬。
このように、同年の皐月賞が道悪開催だった場合、皐月賞勝ち馬は基本的にパフォーマンスを下降させやすい方向性。
また、上記の5年における日本ダービーの勝ち馬5頭中の3頭であるワグネリアン、ディープブリランテ、エイシンフラッシュは、皐月賞よりもパフォーマンスを上昇させて当レースを制覇。
要するに、皐月賞が道悪開催だった場合の日本ダービー(特に良馬場)は、皐月賞組全体の期待値が下がる訳ではなく、道悪の皐月賞で恵まれた馬がパフォーマンスを下降させやすく、恵まれなかった馬が巻き返しやすいといったイメージ。
今年の日本ダービーは、この辺りの傾向が大きなポイントになりそうな構図と見立てます。
ベラジオオペラは、前走の皐月賞が3番人気10着。
その皐月賞は、陣営も公言しているように、タフな馬場と厳しいペースで典型的な差し追い込み決着の中、強気の先行策が裏目に出た形。
スピード負けではなく、スタミナ負けしたことは、むしろ良馬場の日本ダービーへ向けては強調材料。
父がスピードを補うロードカナロア、母父がスタミナの絶対値に優れた欧州型ノーザンダンサー系種牡馬で、日本のトップサイアーでもあるハービンジャーと、近年のダービーにおける理想的な配合馬。
直近4年の日本ダービーは、父が主要のリーディング上位種牡馬で、母父がスピード強化型の米国型orダンチヒ系が4連覇中。
3代母エアデジャヴーは、同時期同舞台で行われるオークス2着馬。
近親エアシャカールは、2000年の日本ダービーで勝ちに等しいハナ差の2着、近親エアメサイアもオークス2着馬。
3歳G1の東京2400mに相性抜群のアイドリームドアドリームの牝系であることも含めて、前走からの大幅な変わり身にも期待できるキャラクター。
ホウオウビスケッツも、前走の皐月賞は先行して失速。
近年の日本ダービーでポイントになる芝1600m戦の勝ち馬。
昨年の勝ち馬ドウデュースを筆頭に、ステラヴェローチェ、サリオス、ダノンキングリー、エポカドーロと、マイル戦に勝利実績があった馬は、近5年連続で3着以内に好走中というデータも。
父がスピードを強化する米国型ヴァイスリージェント系のマインドユアビスケッツ、母父が主要のリーディングトップサイアーで日本ダービーにも実績を持つキングカメハメハ系のルーラーシップと、血統バランスも当レース向き。
3代母にはマンファスの名がある超名血系で、近親のキングカメハメハは当時のダービーレコードを2秒更新した伝説のダービー馬。
この辺りの背景に、前走の大敗を覆す可能性、そのスケールを窺わせる1頭。
ショウナンバシットは、母方が米国の快速牝系。
2代母はダート大国米国競馬の2歳女王決定戦に位置づけられるBCジュヴェナイルフィリーズ(G1)の勝ち馬という名牝系。
直近3年の勝ち馬ドウデュース、シャフリヤール、コントレイルは全て母方が米国の快速牝系。
シャフリヤール、コントレイルは、父がディープインパクト系種牡馬という意味でも同類項。
戦歴的にも未だ底を見せていない良馬場で、持ち味のスピードを発揮できれば大波乱演出の可能性も十分と見立てます。
ソールオリエンスは、前述の通り、道悪の皐月賞が恵まれた競馬と捉えれば、ここは少なからずパフォーマンスを下降させる可能性が高いシチュエーション。
父キタサンブラック、母父Motivator(サドラーズウェルズ系)は、何れもスタミナ、欧州指向の強い種牡馬で、例年の当レースで必要とされる才能という意味では真逆の方向性を示す重厚なキャラクター。
但し、コントレイル級のポテンシャルを秘めている歴史的名馬であれば、その傾向を覆すでしょうか。
ファントムシーフは、母方が米国牝系で1600m戦の勝利実績を持つ馬。
仮に前走の皐月賞を、道悪も合わず、落鉄もした上で、地力だけで3着に走ってしまった、と捉えれば、ここは前走以上のパフォーマンスに期待できるシチュエーション。
この定義付けが妥当なものであれば、あっさり突き抜けても不思議はない1頭。